ディス・イズ・ザ・デイ(津村記久子)を読んで

ディス・イズ・ザ・デイ(津村記久子)を最近読んだ。

日経新聞の書評でみつけて図書館から借りた。

朝日新聞夕刊の金曜日に連載されていたとか。
うちは朝日新聞でないので、こういうときは朝日新聞がうらやましい。

きっかけ

私はJリーグに興味があるので、この本に興味をもった。
津村記久子さんの「この世にたやすい仕事はない」
という本がよかったので、この作品も読みたくなった。

何がよかったの?

サッカーについて書かれているのではなく、サッカーファンの
あるいはサッカーファンですらなかった人たちの人間模様が描かれて
いるのがとてもよい。

全くサッカーに興味がなかった人たちがサッカーをみるようになり
特定のチームを応援するようになったり、
ひょんなことから家族が別々のチームを応援するようになったり、
職場ではいい関係
とは言えない人物とサッカーを通して通じ合ったり、
遠方で全く知らない人同士がサッカーでつながったり、
疎遠だった祖母と孫が再会したり、
憧れの女子の先輩とサッカーが縁でついに近づけたり・・・
どのストーリーもすべて愛おしく、泣きたくなってしまった。
胸がいっぱいになる話ばかり。

この小説では正直、チームの戦術、勝敗なんかは主人公ではなく
あくまでも主役は各チームをとりまく人たち。

サッカー観戦がこんなにも人生を豊かにしてくれるものだとは
サッカーファンの私でも気づかなかった。

架空のJ2 22チームの名前とエンブレムも秀逸だし、舞台がJ2
(J1への昇格もJ3への降格もあり)というのもいい。

スタグルもでてくるし、各地方のいろいろなこと、試合観戦の
リアリティーもある。
作者はサッカー、Jリーグのことをかなり取材、勉強したのだろう。

心動かされるし、しかもおもしろい100点満点の小説だった。